夫婦なのに気持ちがすれ違う―「分かってほしい」の前にできること
一緒に暮らしているのに、どうしてこんなに気持ちが伝わらないんだろう。
「これくらい分かってくれてもいいのに」
「何度言っても伝わらない」
「昔はもっと話せていたのに」
夫婦関係のご相談では、このような言葉をお聞きすることがあります。
夫婦は、長く一緒にいるからこそ、
「言わなくても分かってほしい」
という気持ちが生まれやすい関係でもあります。
けれど、近い関係だからといって、相手の気持ちをすべて分かるわけではありません。
むしろ、
「これくらい分かるはず」
という期待が大きいほど、分かってもらえなかったときの寂しさや怒りも大きくなることがあります。
「分かってほしい」の奥には、別の気持ちがあります
「どうして分かってくれないの?」
という言葉の奥には、
「寂しかった」
「大切にしてほしかった」
「私の頑張りに気づいてほしかった」
「味方でいてほしかった」
という気持ちが隠れていることがあります。
ところが、その気持ちをうまく言葉にできないと、
「あなたは何もしてくれない」
「いつもそう」
「もういい」
という言葉になってしまうことがあります。
すると相手は責められたと感じ、防御的になってしまいます。
本当は分かり合いたかったのに、会話をするほど距離が広がってしまう。
夫婦のすれ違いでは、このようなことがよく起こります。
「事実」と「気持ち」を分けて伝えてみる
たとえば、
「あなたは全然家のことをしてくれない」
と言うと、相手は、
「そんなことはない」
「自分だってやっている」
と反論したくなるかもしれません。
それを、
「今週は仕事も忙しくて、家のことが私に集中しているように感じて、ちょっと疲れている」
と伝えると、少し受け取られ方が変わります。
ポイントは、
相手を評価する言葉より、自分の状態や気持ちを伝えること
です。
「あなたは〇〇だ」
ではなく、
「私は〇〇と感じた」
という伝え方です。
「いつも」「絶対」「全然」は要注意
夫婦喧嘩になると、
「あなたはいつもそう」
「絶対に私の話を聞かない」
「全然協力してくれない」
という言葉が出ることがあります。
でも、本当に「いつも」「絶対」「全然」でしょうか。
こうした言葉は、相手にとっては、
「全部否定された」
と感じやすい表現です。
具体的に、
「昨日、話している途中でスマホを見られたとき、寂しかった」
と伝えた方が、相手も何について話しているのか理解しやすくなります。
話すタイミングも大切です
伝え方だけでなく、いつ話すかも大切です。
仕事から帰ったばかり。
子どものことでバタバタしている時間。
眠る直前。
どちらかが疲れ切っているとき。
そんなときに大切な話を始めても、十分に聞けないことがあります。
「ちょっと話したいことがあるんだけど、いつなら話せそう?」
と、時間を決めることも一つの方法です。
夫婦だからこそ、話す時間をあえて作ることが必要になることもあります。
「察してほしい」は、意外と難しい
「こんなに疲れているんだから、分かるでしょう」
「普通なら気づくでしょう」
そう思うこともあります。
でも、人によって気づくポイントは違います。
片方にとっては当たり前でも、もう片方には本当に分からないことがあります。
そこで、
「今日はちょっと疲れているから、夕食の片付けをお願いしたい」
「今はアドバイスより、話を聞いてほしい」
と、具体的に伝えてみます。
言わなくても分かってほしい気持ちは自然です。
でも、分かってほしいことほど、言葉にした方が伝わりやすいのです。
「解決してほしい」のか「聞いてほしい」のか
夫婦でよく起こるすれ違いの一つに、
片方は「話を聞いてほしい」だけなのに、
もう片方は「どう解決するか」を一生懸命考える、
というものがあります。
たとえば、
「今日、職場でこんなことがあってね」
と話したとき、
「じゃあ、こうしたらいいじゃない」
と返されて、
「そういうことじゃない」
と思った経験はないでしょうか。
そんなときは、
「今日は解決策より、少し聞いてもらえると嬉しい」
と先に伝えるだけでも、会話が変わることがあります。
反対に聞く側も、
「聞いてほしい? 一緒に考えた方がいい?」
と確認してみてもよいと思います。
相手を変えることだけに集中しない
夫婦関係で悩んでいると、
「相手が変わってくれたらうまくいくのに」
と思うことがあります。
もちろん、相手に変えてほしいことがある場合もあります。
でも、相手の考えや行動を自分の思いどおりに変えることはできません。
そこで一度、
「私は何を分かってほしいのだろう」
「私はどうしてほしいのだろう」
「それを具体的に伝えられているだろうか」
と、自分の気持ちを整理してみます。
相手を変えるためではなく、自分の気持ちを伝わりやすい形にすることから始めてみるのです。
「分かり合う」と「同じ考えになる」は違います
夫婦だからといって、すべての考えが同じになる必要はありません。
お金の使い方。
子育て。
仕事。
休日の過ごし方。
親との付き合い。
価値観が違うことはあります。
大切なのは、
「あなたはそう考えるんだね」
と、相手の考えの存在を認めることです。
理解することと、賛成することは同じではありません。
違う考えのままでも、
「では、二人にとってどうするのがよいだろう」
と話し合える関係を作ることはできます。
謝ることは「負け」ではありません
夫婦喧嘩のあと、
「向こうが悪いのに、どうして私から謝らないといけないの?」
と思うことがあります。
でも、
「全部私が悪かった」
と認める必要はありません。
たとえば、
「昨日は言い方がきつくなってごめんね」
と、自分が良くなかった部分だけを認めることもできます。
相手にも非があるとしても、自分の言葉や態度については自分で振り返ることができます。
それが、もう一度会話を始めるきっかけになることもあります。
二人だけでは話が進まなくなることもあります
何度話しても同じ喧嘩になる。
話そうとすると、どちらかが黙ってしまう。
過去の出来事まで持ち出してしまう。
「もう何を言っても無駄」と感じる。
そんな状態になると、二人だけで話し合うこと自体が難しくなることがあります。
第三者が入ることで、
「相手を説得する時間」から、
「お互いが何を感じ、何を求めているのかを整理する時間」
に変わることがあります。
夫婦相談は、離婚するかどうかを決めるためだけのものではありません。
今の関係を整理したい。
これからどう付き合っていくか考えたい。
一度、落ち着いて話をしたい。
そのような段階でも利用できます。
「分かってほしい」と思ったときに、まずできること
相手に、
「分かってほしい」
と思ったとき、
まず自分に、
「私は何を分かってほしいんだろう?」
と聞いてみてください。
怒っているように見えても、その奥には、
寂しさだったり、
不安だったり、
大切にしてほしい気持ちだったりするかもしれません。
その気持ちが少し整理できると、
「あなたはどうして〇〇なの?」
ではなく、
「私はこう感じていた」
という言葉に変えられることがあります。
夫婦だからこそ、言わなくても分かってほしい。
その気持ちは自然なものです。
でも、
大切なことほど、言葉にする。
それが、すれ違った気持ちをもう一度近づける第一歩になることがあります。
夫婦関係について、一人で悩んでいるときは
「こんなことで相談してもいいのかな」
「相手は相談に行く気がない」
「自分だけ相談して意味があるのかな」
と思われることもあります。
夫婦相談は、必ずしも二人一緒でなければできないものではありません。
まずお一人で、
「何がつらいのか」
「本当はどうしたいのか」
「どこまでなら受け入れられるのか」
を整理することから始めることもできます。
陽だまりのお部屋では、どちらか一方を「正しい・間違っている」と決めるのではなく、お話を伺いながら、今の夫婦関係とお気持ちを一緒に整理していきます。
「関係を修復したい」
「少し距離を置いた方がいいのか迷っている」
「今後について考えたい」
どの段階でも構いません。
一人で考え続けて疲れてしまう前に、よろしければお話をお聞かせください。
※暴力、脅し、強い支配、身の危険を感じる状況がある場合には、夫婦の話し合いよりも安全の確保を優先し、専門の相談機関などにつながることが大切です。
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