子どもの発音が気になるとき、家庭でできること
「サ行が少し言いにくそう」
「“つ”が“ちゅ”のように聞こえる」
「何度聞いても、何と言っているのか分からないことがある」
「周りの子と比べると、発音が幼い気がする」
子どもの話し方を聞いていて、発音が気になることはありませんか。
毎日一緒にいる家族には分かるけれど、園や学校の先生、初めて会う人には伝わりにくい。
そんな様子があると、
「そのうち自然に治るのかな」
「家で練習させた方がいいのかな」
「専門家に相談するほどなのかな」
と迷われる保護者の方もいらっしゃると思います。
子どもの発音は、身体やことばの発達とともに少しずつ整っていきます。そのため、幼い時期には発音しにくい音があっても珍しいことではありません。
一方で、発音の状態だけを見るのではなく、
「どの音が言いにくいのか」「本人が困っているか」「聞き取りにも気になるところがないか」
など、少し広い視点から見ていくことも大切です。
子どもの発音は少しずつ育っていきます
子どもは、最初からすべての音を大人と同じように発音できるわけではありません。
口や舌を細かく動かしたり、息の出し方を調整したり、自分が聞いた音をまねしたりしながら、少しずつことばを身につけていきます。
そのため、
「言いたいことは分かっているけれど、うまく音にできない」
という時期もあります。
また、発音の発達には個人差があります。
周囲の子どもと比べて、
「まだ言えていない」
とすぐに心配する必要はありません。
まずは、以前より分かりやすくなっているか、少しずつ変化しているかを見てみましょう。
何度も「言い直して」と言わなくても大丈夫
子どもの発音が違っていると、
「違うよ。“さかな”でしょ」
「もう一回言ってみて」
「ちゃんと言ってごらん」
と直したくなることがあります。
もちろん、悪気があるわけではありません。
けれど、毎回訂正されたり何度も言い直しを求められたりすると、
「しゃべると間違える」
「また直される」
と感じ、話すこと自体に消極的になってしまう子もいます。
家庭では、正しく言わせることより、
「話したい」「伝えたい」という気持ちを大切にすること
をまず優先してよいと思います。
正しい音は、自然に聞かせてあげる
では、発音が違っていたときはどうすればよいのでしょうか。
たとえば子どもが、
「おちゃかな、いたよ」
と「おさかな」を言いにくそうにしていたとします。
そんなとき、
「違うよ。“お・さ・か・な”」
と訂正する代わりに、
「ほんとだね。おさかながいるね」
と、会話の中で自然に正しい音を返してあげます。
子どもに言い直させる必要はありません。
大人がゆっくり、分かりやすく話すことで、子どもは正しい音を何度も耳にすることができます。
顔を見ながら、ゆっくり話す
発音には、
「音を聞くこと」
と
「口や舌を動かすこと」
の両方が関係しています。
そのため家庭では、少しゆっくり話し、子どもが大人の口元も見られるようにしてあげることがあります。
ただし、
「ほら、お母さんの口をよく見て!」
と練習のようにしなくても構いません。
絵本を一緒に読んだり、歌を歌ったり、向かい合って会話したりするだけでも、自然にことばに触れる機会になります。
絵本やことば遊びを楽しむ
家庭でできることとして、私は「楽しいことばの時間」をおすすめします。
たとえば、
- 絵本を一緒に読む
- しりとりをする
- 歌を歌う
- 動物や食べ物の名前を言って遊ぶ
- 「これ何かな?」と絵を見ながら話す
- 今日あったことをゆっくり聞く
などです。
目的は「発音訓練」ではありません。
ことばを聞く、話す、伝わるという経験を増やすことが大切です。
「ちゃんと言えるかな」と試す時間ではなく、
「お話するって楽しいね」
と思える時間にしてあげてください。
「発音」だけでなく「聞こえ方」も見てみる
発音が気になる場合に、もう一つ見ておきたいのが聞こえ方です。
ことばは、周囲から聞こえてきた音を聞き分けながら身につけていきます。
たとえば、
「呼んでも気づかないことが多い」
「聞き返しが多い」
「テレビの音を大きくしたがる」
「似た音を聞き間違えることが多い」
など、聞こえについても気になる様子がある場合には、発音だけの問題と決めつけず、耳の状態も含めて確認することが大切です。
必要に応じて、小児科や耳鼻咽喉科などに相談することも考えましょう。
本人が気にしているときは、特に丁寧に
成長すると、自分の話し方と周囲の話し方の違いに気づく子もいます。
友達から聞き返されたり、発音をまねされたりした経験から、
「話したくない」
「学校で発表したくない」
と感じることもあります。
そんなとき、
「そんなの気にしなくていいよ」
だけで終わらせるより、
「聞き返されるの、嫌だったんだね」
「話しにくい音があるんだね」
と、まず本人の気持ちを受け止めてあげてください。
必要な支援につなげることも、その子の安心につながります。
こんなときは、一度相談してみてもよいでしょう
発音について気になっていても、「どの段階で相談すればいいの?」と迷うと思います。
たとえば、
- 家族以外にはことばが伝わりにくい
- 特定の音をいつも別の音で発音する
- 本人が発音をとても気にしている
- 発音のために話すことを避けるようになった
- 聞き取りについても気になることがある
- 以前より話し方が分かりにくくなった
- 保護者自身が長く気になっている
といった場合には、一度専門家へ相談してみてもよいでしょう。
相談したからといって、必ず訓練が必要になるわけではありません。
「今はもう少し様子を見てもよい」
と分かることも、保護者にとって大切な情報です。
発音の詳しい評価や訓練については、言語聴覚士など、ことばや発音を専門とする職種への相談が適しています。
家庭で一番大切にしてほしいこと
発音が気になると、つい「正しく言えるようにすること」に目が向きます。
けれど、ことばは本来、
自分の気持ちを伝えるためのものです。
「今日こんなことがあったよ」
「これが好き」
「悲しかった」
「聞いてほしい」
そんな子どもの言葉に、
「そうなんだね」
「教えてくれてありがとう」
と応えてもらう経験の方が、家庭ではずっと大切だと思います。
発音を直すことより先に、
「話していい」「話すと伝わる」「話すのは楽しい」
という気持ちを育ててあげてください。
子どものことばや発達について気になるときは
「発音だけが気になるのか、それともほかにも何かあるのだろうか」
「学校で困っていないか心配」
「本人もうまく説明できないけれど、何となく気になる」
子どもの様子を見ていて、このように感じることもあると思います。
一つの行動だけを切り取るのではなく、ことば・学習・学校生活・家庭での様子などを一緒に整理すると、見えてくることがあります。
陽だまりのお部屋では、お子さまの様子や保護者の方が気になっていることをお聞きしながら、一緒に整理していきます。
必要に応じてWISC-Vなどの心理検査を通して、お子さまの得意なことや苦手になりやすいことを考えていくこともできます。
なお、発音そのものの専門的な評価や訓練が必要と思われる場合には、言語聴覚士や医療機関など適切な専門機関への相談をおすすめします。
「こんなことで相談していいのかな」という段階でも構いません。
まずは、気になっていることをお聞かせください。
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