震災の中で、子どもたちの心と体を守るために

私はこれまで、二度の震災を経験しました。

大きな揺れが起きるたびに、あの時の恐怖や不安がよみがえります。物が落ちる音、何度も続く余震、いつもの生活が一瞬で変わってしまう心細さ。震災は、経験した人にしか分からない怖さがあります。

幸い、今回は電気や水道などのライフラインが使えているため、私自身は大丈夫です。生活できる環境があることのありがたさを、改めて感じています。

その一方で、私が特に心配しているのは、震災の中で過ごしている子どもたちのことです。

熱中症

暑い時期の避難生活では、熱中症や体調不良への注意が必要です。避難所では冷房が十分に届かない場所もあり、大人よりも体温調節が難しい子どもたちは、知らないうちに疲れや水分不足を抱えてしまうことがあります。

「喉は渇いていない」と言っていても、こまめに水分を取らせること。汗をかいていないか、顔色は悪くないか、元気がなくなっていないかを、周囲の大人が気にかけることが大切です。

心を守る

また、避難所生活は子どもたちにとって、身体だけでなく心にも大きな負担となります。

知らない人が大勢いる場所、聞き慣れない音、自由に遊べない環境、眠れない夜。そして、大人たちの不安そうな表情。子どもは、大人が思っている以上に周囲の雰囲気を感じ取っています。

一見、元気に遊んでいるように見えても、突然泣き出したり、怒りっぽくなったり、甘えが強くなったりすることがあります。夜泣きやおねしょ、食欲の低下、口数が減るといった変化が表れることもあります。

それらは、わがままでも困った行動でもありません。

子どもが言葉にできない不安や恐怖を、行動で表しているのかもしれません。

「怖かったね」 「びっくりしたね」 「ここにいるから大丈夫だよ」

そんな短い言葉でも、安心につながります。

無理に話を聞き出す必要はありません。話したくなった時に話せるよう、そばにいること。何度同じ話をしても、「またその話?」と言わずに受け止めること。子どもの気持ちを否定せず、安心できる大人がそばにいることが何より大切です。

避難所では、子どもの声や泣き声を気にして、保護者が周囲に謝り続けてしまうこともあります。しかし、子どもも保護者も、非常事態の中で精いっぱい過ごしています。

周囲の人が、

「お互いさまですよ」 「大丈夫ですよ」 「何かできることはありますか」

と声をかけるだけで、保護者の緊張が少し和らぐかもしれません。

子どもが安心するためには、まず、そばにいる大人が孤立しないことも大切です。

また、可能であれば、子どもが少し体を動かしたり、絵を描いたり、本を読んだりできる場所や時間があるとよいと思います。遊びは単なる気分転換ではなく、子どもが不安な気持ちを整理し、日常を取り戻していくための大切な時間です。

災害時には、食料や水、寝る場所など、目に見える支援が優先されます。もちろん、それらは命を守るために欠かせません。

同時に、子どもの心、保護者の疲れ、周囲とのコミュニケーションにも目を向けてほしいと思います。

「困っていることはありませんか」と聞かれても、遠慮して「大丈夫です」と答える方は少なくありません。

だからこそ、

「お水を持ってきましょうか」 「少しお子さんを見ていましょうか」 「涼しい場所がありますよ」

と、具体的に声をかけることが助けになる場合があります。

震災の影響は、揺れが収まったら終わるものではありません。生活が戻ってきても、不安や緊張がしばらく続くことがあります。

今は元気に見える子どもにも、少し先になって心身の変化が表れるかもしれません。急いで元どおりにさせようとせず、その子のペースを見守っていくことが必要です。

震災の中で、大人も子どもも懸命に過ごしています。

誰かの小さな気づきや、優しいひと言が、不安の中にいる親子の支えになります。

子どもたちが安心して水を飲めること。 少しでも涼しい場所で休めること。 泣いても、甘えても、責められないこと。 そして、「あなたは一人ではない」と感じられること。

災害時だからこそ、子どもたちの心と体に、みんなで目を向けていけたらと思います。

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